太陽電池の仕組み

太陽電池の仕組みはどうなっているのでしょうか。 お父さんが話してくれます。

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いよいよ、今日の話は太陽電池の仕組みだね。
 
そうだね。少しおさらいをしておこうか。
 
太陽電池は、英語ではsolar cellという。
 
太陽電池は乾電池などと違って、電気を貯めるものではなく、発電するもの。
 
発電するには太陽の光が必要。つまり、太陽電池は光エネルギーを電気エネルギーに変換する装置。
太陽電池は半導体からできている。
 
半導体とは、通常は電気を通さないが、条件によっては電気を通す物質
 
よくできました。
 
最後の「条件」ってなあに。
 
そうだね。周囲の電場や温度、あるいは光などかな。
 
半導体って具体的にどんなものがあるの?
 
そうだね。一口に半導体といってもいろいろなものがあり、太陽電池にもいくつか使われているが、ここでは、代表的な結晶性シリコンを原料にした半導体を例にして説明しようかな。これはうちの太陽電池でも使われているんだよ。
シリコンってなぁーに。
 
習ってないかな。元素記号はSiだよ。
 
あっ、ケイ素のことね。
 
そうだ。シリコンは英語だね。地球上で2番目に多い元素だと言われている。
 
一番は、酸素ね。
 
そう、その通り、よく知っていたね。
 
学校で習ったもん。乾燥剤として使われているよね。
 
それはシリカゲルだね。これは、ケイ素に酸素が2つ結合したに酸化ケイ素だよ。ちなみに、水晶も酸化ケイ素の結晶だよ。
水晶は透明で、きれいだよね。
 
太陽電池では、ケイ素だけを高度に純粋化したものが使われるんだ。その純度は99.9999%以上だよ。
すごい、純度だね。
 
そうだね。でもそのままでは半導体ではないんだ。半導体にするためにはこの高純度のシリカにある成分を添加するんだ。
せっかく純粋化したのに。
 
そうだね。でも純粋にしないと、添加する成分の効果が得られないんだ。
 
具体的にはどうするの?
 
ここでクイズだ。電気はプラス、マイナス、どっちからどっちに流れると思う?
 
そりゃ、プラスからマイナスだよ。常識だね。
 
そう、その通りだけど、そうすると、電子はプラスからマイナスに流れるということだね。
そうでしょう。この前はそんな説明だったよ。
 
うーん、残念!。
 
えっ、違うの?
 
そうなんだ。実は、電子はマイナスからプラスに流れるんだ。
 
電子の流れが電気の流れだったんではないの?
 
それはそうなんだけど、これにはわけがあるんだ。
 
どんなわけ?
 
昔、ボルタという人が初めて電池を発明したことは知っているかい。
 
知ってる。ボルタ電池でしょう? たしか、希硫酸に銅と亜鉛の板をつけると、電気が発生するんだったよね。
そう、当時は銅のプラス極と亜鉛のマイナス極をつなぐと、銅は溶けないのに亜鉛は溶けて小さくなっていくことから、電気はプラスからマイナスに流れると考えられたんだ。でも、その後、電子というものの存在があきらかになり、電子はマイナスからプラスに流れるということがわかったんだ。というわけで、今でも電流はプラスからマイナスへ、そのままになっているということらしい。
そういうことか。
 
えっと、電気はプラスからマイナスに流れると思われているが、実際は電子がマイナスからプラスに流れるということね。
そういうことだね。というわけで、電気を流すためには太陽電池にもプラス極とマイナス極が必要ということになる。
そうだね。
 
ということで、太陽電池にはプラス側の半導体と、マイナス側の半導体の2つが必要になり、この2つを重ねることでプラス極とマイナス極のある太陽電池になるんだ。
なるほど。
 
ここから、少し難しくなるよ。まず、プラス側の半導体だけど、これは、シリコンの結晶にホウ素という元素を添加して作られているんだ。
ホウ素、元素記号はBだね。たしか、ゴキブリを退治するのに使われるホウ素だんごのホウ素だね。お母さんが作っているのを見たことがある。
そう。このホウ素には、下の図に示すように、5つの電子があるんだけど、そのうち、結合に関係する外側の軌道を回っている電子は3つなんだ。それに対してケイ素は外側の電子が4個ある。ケイ素だけだと、この4つが他のケイ素の4つと合わせて8個になり結合として安定している。
電子が8つあると安定するんだったね。
 
その通り。ここに電子が3つしかないホウ素が入ると、ケイ素原子の周りに電子が7個しかないところができる。1つ電子が少ない場所ができるというわけだ。ここは、マイナスの電子が抜けたように見えるので、プラスに帯電している粒子と考えて、これを正孔(せいこう)と呼んでいる。この正孔の正は正しいという意味ではなく、プラスという意味なんだ。プラスのあなということだね。
また、新しい言葉が出てきた。メモしておこう。
 
正孔というのは固定されたものではなく、どこかの電子がここに動いて収まることがある。するとその電子がもともといたところはプラスになる。つまり、正孔になる。そこにまた別の電子が移動してくる。ということで、電子が動く、・・・
つまり、電気が流れるということだね。
 
その通り。
 
なるほど。
 
今、電子が移動すると言ったが、逆に考えると、正孔が移動しているようにも見える。つまり、ホウ素を含む半導体は、プラスに帯電していることになるので、p型半導体というんだ。pはplusの略だよ。
もう1つの方は?
 
一方の、マイナス側の半導体を作るには、リンを加える。マッチに使われていた元素だ。生物にも欠かせない元素だよ。
リンはケイ素より原子番号が1つ上だね。
 
そう、だから、さっきの図に示したように、外側を回る電子が1つ多いことになる。よって、これがケイ素の結晶の中に入ると、電子が余ることになる。これが自由電子としてケイ素の結晶の中を動くことで、やはり電気が流れる環境になる。
マイナスに帯電するから、もしかしてnegativeの略でn型半導体?
 
そのとおり。
 
うーん。難しいね。
 
そうだね。では、たとえ話で説明してみよう。電子を猫、正孔を餌を入れたお皿に例えてみようか。
うん。
 
純粋のシリコンの結晶の中では、猫の数とお皿の数が同じなので、猫は自分に与えられたお皿の餌を行儀よく食べる。
そうだね。
 
しかし、猫が1匹多いと、その猫は餌を求めて動き回るよね。つまり電子が動き回る。
うん。
 
これがn型半導体だ。
 
そうか。わかったような気がする。
 
一方、餌皿の方が多いとどうなる。
 
目移りしてそっちに移動する猫がいるかもしれない。
 
すると、また別の猫が空いたところへ移動するかもしれない。
 
そう。それを図に表すと下のようになる。一見猫が動いているようにみえるが、見方によっては、皿が移動しているともいえる。つまり、正孔が動いている、それがp型半導体というわけだ。どうかな、この例えは?
 
いいんじゃない。
 
そうか。じゃ、次だね。太陽電池は、この2つの半導体を接合することでできるんだ。この接合面をpn接合面というんだ。
いよいよ、太陽電池の仕組みだね。
 
この2つの半導体が接合することによって、どういうことが起こるか。さっきの猫と餌皿で説明するよ。
猫が自由電子、正孔が餌皿だったね。
 
そう。p型半導体にはお皿に載った餌があり、n型半導体には猫がいる。いずれも半導体の中を動くことができる。この2つの半導体をくっつけると、その接合面近くの猫は皿の餌を食べることができる。しかし、接合面から離れたところにいる猫は餌にありつくことができない。
へぇー。かわいそう。でも、どうして?
 
なぜかというと、すでに餌皿にありついた猫が、離れたところにいる猫が餌皿に移動するのを邪魔するからなんだ。
意地悪しているのね。
 
餌を食べて満足しているんだね。そういう猫と皿があるところを空乏層(くうぼうそう)というんだ。そして、ここには、猫を元居たところに戻そうという目に見えない力が働いている。
この状態の時に、光があたると空乏層で餌を食べていた猫がびっくりして餌皿から離れ、戻そうとする力によって仲間のいるところに戻されてしまうんだ。餌皿もなぜか、元に戻ってしまう。この状態が半導体全体に移動の力が広がってしまうため、2つの半導体の間に電圧という力が発生する。 これを光起電力効果という。 要するに、n型半導体の表面に太陽光が当たると、そのエネルギーによってn型半導体に電子、p型半導体に正孔が集まり、結果としていわゆる内部電界、電位差が生じるということになる。 ここで、それぞれの半導体を導線でつなぐと、n型半導体からp型半導体に電子が流れ、電球が光るということになる。 これが太陽電池の仕組みだ。 実際の太陽電池で見てみよう。内部までは見えないが、に電極をとりつけたものが太陽電池のセルです(下の図)。n型半導体側の電極は太陽光を通すためガラス張りの透明になっている(実際には櫛形でその隙間を光がとおります)。p型半導体側の電極は金属です。

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